町内会問題をテレビ局はもっと真剣に扱って欲しい件
昨日、テレビ・HTB「イチオシ!」が、町内会のトラブルを扱っていました。舞台は札幌市北区のとある町内会。町内会名は一応伏せます。
商店街併設の巨大マンションが一つの町内会を形成しています。
番組内では、町内会長が2人いるという筋で、新町内会側の役員数名が、旧町内会長が過去の町内会費500万円以上を持ったまま、新町内会に金を渡さないので怒っている。町内会員は困惑している。一方、元町内会長は、新町内会の存在自体が無効だから、安易に金を渡すわけにもいかないんだというようなことでラチがあかない状態だというやりとりがなされました。
スタジオに戻って、ヒロさんが「町内会長に問題があるんだったら総会で解任すればいいのかもしれないけど総会の開催権限が町内会長しか持っていないなら、これどうすればいいの?」というような発言をし、アナウンサーの方が、「実はこのように総会開催の権限を会則で町内会長にしか与えていないケースは多い」ということを話していました。
テレビの制作スタッフに言いたい。誰かのリークで、今新聞とかでも話題になっている町内会問題(横領とか)に踏み込もうとしたことや、両方の当事者を登場させた所までは立派です。でも結局、トラブっているということだけしか伝わっていない中途半端な、いやもっとはっきり言えば、核心に迫っていない、賑やかしに終わった番組だったと・・・。
本当はこれ、もっとややこしい問題です。
そもそも数年前に、この町内会、役員のなり手がいなくて、やる気のない役員と、急に会長になったワンマンすぎる人が登場したところから始まりました。そして、このマンションには、町内会の他に住民による「管理組合」があります。管理組合はマンションの維持管理などを自分たちでやっているわけです。
そんな中で町内会が、数年間活動をやめていた「夏祭り」を復活させようと会長と一部役員が起案しました。10代の若者を役員に起用したのでテレビ局も取材に来ました。実際に夏祭り自体は大いに盛り上がって引きこもりがちの高齢者も出てきたりして・・。でもその際に、祭りが総会の決議ではなく、役員会だけで決めて開催したことに、管理組合から派遣されていた町内会役員が反対し、会長と喧嘩になり会長が暴言を言ったこと。これが町内会長側から言わせれば、管理組合が町内会のことを快く思わず、妨害しているんだということになり、管理組合側から見れば、町内会長が町内会を私物化しているということになったわけです。どちらにも言い分がある。
で、町内会長と総務部長が会計をしっかりしていないのではないかという話になり、会長が開示請求を拒んでもめて、管理組合側が「町内会問題を考える会」みたいな暫定組織を作って町内会長をクビにしようという話になり、より一層こじれました。怪文書も飛び交いました。
その後、会計内容はいったん町内会長は全て明らかにしました。その中で、実際のところは領収証の不備などはありました。でもあからさまな横領でどうのこうのというほどの悪事ではなかったんです。
で、その後はお互いが訴えるだのなんだとと始まり。。町内会活動は停滞し3年過ぎました。立場によっても、また事情をどこまで知っているかによっても見方は変わると思いますが、当事者がいがみ合って、自分たちの正当性を主張することばかりに一生懸命で、実際のところわだかまりを優先にするあまり、肝心の町内会員のことを優先していない、と私は感じました。
・・・念のため書きますが、町内会問題でもめている役員は、たぶんごくごくわずかの謝礼しか受け取っていない、ほぼボランティアです。傍観決め込んで町内会のことを何にもしない町内会員より立派です。そこは前提として、評価し感謝する姿勢が地域住民には必要です。たとえもめていたとしても。
もめている当事者の圧倒的大多数は60代以上です。豊かな人生経験、人と人との交流術を各自持っているのではないですか?自分が正しいと思っても、相手にそれを押しつけるだけで解決するなんて、子どもみたいな発想は、卒業したはずですよね。物事を解決する際には、押すところは押す、引くところは引く。時には腹を割って話し合ったり、逆に時間が解決させる手を使ったり、まったく別の打開策を探ったり、手練手管、持っているのではないのですか?人の心はどういう風に動くのか、知っているはずです。そういう人生経験をこういう時に活かせるのが年長者の良さではないのでしょうか?
実際はそんなもめ事は別として、今も町内会員は町内会費を払い続けていますし、そのお金は新町内会の側に振り込まれているようなので、今活動する分のお金はあるはずなんです。旧町内会を首にしたいんなら、さっさと新しい町内会で、町内会員に愛される活動をして、実質的な町内会はうちらだと、町内会員皆が思えるようにすればいいようにも思えますが・・・
メンドクサイ話。
いや。本当は、大した話ではない気がします。
ここに至っては解決する気が当事者にあるのかどうかも疑わしいです。
こじれている当事者同士が退場してくれるまで待つしかないという最低の結論もやむをえない気すらします。
そしてテレビ局は限られた時間の中で、閉鎖的な町内会の全貌を暴くなんてそもそも無理だったかなとは思います。同情の余地あり。
ただし、この番組を見た視聴者はどう思うかが問題です。
かなりの比率で、町内会って、年配男性が揉めたり、やっかいだな。町内会ってめんどくさいな、というメッセージが伝わったと思うんです。テレビ局はこの番組を通じて、良い町内会が北海道内に増えてくれるのを願って番組制作したのでは?それが知らないうちに、両当事者に話聞いて、あとは紹介受けて話聞けた旧役員とか、ごくごく一部の町内会員の偏った意見を聞いて、映像的に確保して、あとはスタジオに戻って、アナウンサーとヒロさんが、会則というわかりやすい点だけやりとりして終了。これで番組一丁あがりになってしまったという。
テレビも新聞も雑誌もそうですが、そういう媒体を作っている人は、仕事としてやっていますし、媒体の事情というか型にあてはめて仕事をしがちです。でも本当はそれは間違いです。何のためにその情報を発信するのか、そのために自分の媒体を最大限活かして何ができるか、その都度考えるべきです。10分の尺で両当事者出して、スタジオに戻して2・3のやりとりして終わり。みたいな、収まりのことばかり考えていて、結局視聴者に何が伝わるのかの検証すらしないというのはダメです。別に地域コミュニティの担い手が町内会だけとは思いません。現代にあった手法もあるかとは思います。ですが、町内会がもめてもめて、ひどいことになっているよというメッセージだけ伝えて何の意味がありますか?むしろ、町内会を始めとする地域コミュニティをぶっこわすお役に立っちゃうかもしれませんよ・・・とテレビ局には言いたいです。
結論
歳を重ねる毎に人格が磨かれる。そんな人に私はなりたい。