災害時に問われる避難所運営力。道庁の避難所運営訓練ゲーム(HUG)の研修会を取材してきました
避難所運営ゲーム(HUGゲーム)は平成19年に静岡県が開発した優れものの、避難所運営を模擬体験できるゲームです。
全国で活用されているのですが、北海道の場合、雪、寒さの問題が避難所運営に決定的な影響を与える(夏でも夜は寒いことも含め)ことや、避難所の舞台となる体育館の構造が静岡県とかなり違うということもあって、静岡県の許諾を得て、独自の避難所運営ゲームを開発しました。
今回は完成発表会ということで、私、取材にお邪魔しました。
●設定
北海道を震源とする内陸直下型の巨大地震が発生。
私は自主防災会の役員。
場所は小学校の避難所。
ライフラインと下水、メールはダメ。
携帯はつながりにくい。
氷点下2度の冬。雪も降っています。
●避難者が来る前に!
四人位のチームを作ってまず運営本部や受付、通路をどう設置するか決めて体育館の図面に書きます。
●いろんな避難者がやってくる!
避難者カードには
全盲の夫婦、
71歳姉妹連れの助産師さん、
大型犬を連れてきた60歳は『犬は家族だ!犬も避難所に入れろ』と要望。
乳児を連れたママ、
隣に知人の場所を確保したいという人、
衣類は濡れ低体温症の兆候がある人、
歩行困難で高血圧の薬を無くした102歳、
娘が行方不明なお母さん
車内で避難したい人、
など、訳ありの避難者が次々に避難してきます。
高齢者はトイレそばがいい?いや寒いだろう、とか、毛布はステージに置いて必要な分各自が持っていこうとか議論します。
●状況も刻々と変化します
情報提供カードには、
冷えたおにぎり200がきた。
ポータブルトイレはどこに設置する?
災害対策本部から避難者の人数報告を求められた。
震度5弱の余震発生。
テレビ取材要望。
停電しているので薄暗くなってきた。
スポットライトどこに置く?
氷点下8度になって毛布100枚は配るのかどこに置くのか。
玄関の吹きだまり、トイレが汚い。
教室は一部使わせてもらうか?
テレビ持参の人
アレルギー対応の食事要望
などが寄せられます。
避難者やカードはシャッフルされているので、よかれと思った配置が結果的に悪さをしたりします。
果たして正解はあるのか?
知らない人同士です。
探り探り意見を言うひと、
議論が進まないから自分が仕切る人、
たまにボソッと別案を出す人、
場の雰囲気優先の空気を読む人、
反論されたらテンション下がるひと。
人の意見を聞かない人
いろいろです。
合意形成訓練でもありました。
、、、。
危機のときに、廻りに助けてもらうことも当然ありますが、多少なりとも廻りの人を助けることができる人になりたいですね。そのためには訓練が必要。
参加者からは、
備蓄をどのくらい残すか。
即決即断か慎重にやるか。
全壊など被災程度に応じた配慮するか。
ペットは受け入れるか。
状況変化に柔軟に対応できるか。
地域ごとに場所をまとめるか。
授乳はどうするか。
食事をどう配るか。
ブロックごとの組織づくり。
避難者がもっときたらどうするか。
寒いと言う人を後から配置がえは難しい。
報道対応とプライバシーの兼ね合い。
いつ物資が届くのかわからない。
そもそも事前の災害の備えが弱い。
個人の要望に全面対応しなければならないのか。
足りないものをまとめて記載する大切さ。
大部屋にはストーブを入れないで教室に入れる。
助産師などプロの力を借りる。
通路が足りない。
ゴミ処理、分別ルールが難しい。
運ばれる資材の置場所
冬の北海道で非常口が機能するか。
ポータブルトイレはトイレに置くのが良いとか、いろいろ感想ありました。
玄関設定と避難者把握の関係の深さ。
ゴミ分別の基準と周知はどうする?
時間のないなかで冷静に決められるか?
先読みなんてなかなか難しい。
振り返って改善する会議が必要。
排除、隔離、我慢の強制が発生する。
声なき声にも気づく想像力、
外部交渉も含めた調整力、
口だけでない行動力が必要。
ちなみにこのhugゲーム。町内会とかでやると困ったおじさんとかも出て来て場が荒れたりすることもあるそうです。明日から道庁が貸し出すそうです。