「凛とした」が大流行!ハードルも下がっている!

      2017/10/10

選挙、マンションポエムにも

外出中、すれ違った選挙カーから

「わたくし●●●●は『凛とした、力強い北海道へ~』」

という連呼が聞こえてきました。

私が住む選挙区の候補者ではないので全く気にする場面ではないのですが「凛とした」という単語だけ、やけに私の耳に残りました。もしかしたら「自分=候補者が凛としている」という意味か・・・。いやたぶん北海道が凛とするように頑張りますということなのかなと・・・。

そうか地名にまで「凛とした」を使うのか・・・。
そうか「凛とした」は選挙でも使われるのかと。

マンションポエムにも多用されているようです。
[su_quote url="http://yuuto-ads.com/2016/12/03/%E4%B8%8A%E4%BD%8D%E8%A1%A8%E7%A4%BA%E3%81%BE%E3%81%A7%E3%81%AE%E6%9C%9F%E9%96%93%E3%81%AF%E3%83%9F%E3%83%89%E3%83%AB%E3%81%A73%E3%83%B6%E6%9C%88%E3%80%81%E3%83%AD%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%81%AA%E3%82%893/"]凛とした佇まいの双塔は、時代を超えるタワーレジデンスとして水そして空と連動しながら新しい東京景を映し出す。[/su_quote]

とか・・・

また「凛とした」を多く使う人の中には「日本人の美徳」を強調したくて使っている人もいるし、「佇まい」という言葉とセットで、和装の女性や和モダン、あるいはシックな建築物、景色などに使う人もいるようです。

さらにいえば「凛とした」を口頭で使う人は滅多にいなくて、実際は、文章、タイトル、キャッチコピー、snsでの褒め言葉など、文字でそれを使うことが大半な気がします。

「凛とした」の資格を持つ人は誰?

私にとって「凛とした」は45年間一度も文章に使ったことがない単語です。
ある意味今日が初めてです。

「凛」は厳しくひきしまっている様子を指す単語。「凛とした」は、たった5文字で、精悍、清らか、高潔、威厳などの意味。そして特に女性に対しては美しい、可憐、清楚、媚びを売らない、仕事ができる、流行に左右されない、清潔感がある、動じない、などの意味も出せる、すげえワードです。皆まで言わずともたった5文字で・・・。

「凛とした」を使うに当たって、厳密に考えれば、事前にその人が本当に高潔か、清楚かなどを判定すべきです。でもそれは非常に難しいことです。「凛とした、っぽい」人なら結構いるかと思いますが、そもそも高潔や清楚という言葉にふさわしい人かを考えるだけでもなかなかの難題です。

おそらく由緒正しい家の生まれの方や、牧師や僧侶、教師などでも高潔ではない人はいるでしょう。むしろ日々の生活や仕事、言動が高潔で動じない、しかも見た目もキリッとしている人はいるかもしれませんが、たぶん一瞬一瞬は凛としていても、常時凛とした人は滅多にいないのではないか。心や身なり、言動などあらゆる面で「凛とした」を満たす人は日本人全体のうち何パーセント位いるのか。「凛とした」人というのはある意味、言われるほうもなかなかしんどい気がします。

しかし雑誌などのインタビュー記事などで最近、使われることが増えている気がします。高潔で清楚な人が急増しているというより、もしかしたら「凛とした」という言葉のハードルが少し下がっている気がします・・・。

どちらかと言えば、そして誤解を恐れずにいえば、これまでの「凛とした」は、社会的地位や評価もあり、見た目がシュッとしていて、チャラくない、服装の色使い少なめ、身なりが清潔、みたいな外見がまず最低限あって、その上で動じない性格、筋の通った思考回路、そこから醸し出される自信や安定した言動などがかなりの比率で発揮できている。

なおかつ、その人の言動が、それを評価する側の人にとって、うなずける内容であることも、「凛とした」の条件ではないかなと思うのです。だって、自分とは違う考え、自分とは合わない方向にビシッと筋が通った人のことを、評価する側は「頑固」「変人」とかと悪い意味で評価しがちだから・・・。

「凛とした」のハードルが下がっている?

ということで、知性、見た目、言動、そして継続性などいろいろ面倒な条件を乗り越えた、そんな人に対してでなければ「凛とした」を使ってはダメだったハズが、最近は女優さんなら吉田羊さんとか柴崎コウさんのような容姿を持っていれば、実際の内面はある程度免除。一般の人なら筋の通った言動で、品の良い身なりで猫背じゃなく、そんな感じの雰囲気を何年も貫いていると、何かの機会に「凛とした」人だと呼ばれる可能性がある、ようになってきて、

最近はそこからさらにもっとハードルが下がり、女性を最上級に褒めよう、内面と外面を両方まとめて褒める時にとりあえず「凛とした」が選択肢にあがる、特に気品あるシニア女性に対して使いやすいある意味便利な流行語になりつつあると感じます。前述のように、地名や建物、さらには凛とした空気といったようにそれ以外のものにもどんどん使われています。

「凛とした」を安直に使う状況

また、その人がどのように、どの程度、高潔で清楚で、品格があるのかという説明も不十分なのに、いきなり「凛とした」を足してその人を紹介して、一丁上がり、にしている文章なども見かけます。もうここまできたら「凛とした」の一人歩き、「凛とした」の大安売りです。

「凛とした」が流行語になってしまったら、もはや「凛とした」という言葉自体が「凛としていない」状態になってしまうかも。。。近い将来。使い古された陳腐な言葉として人々の心に認定されてしまう、浪費されてしまう言葉なのかもと思います。

ps 45年間、私は「凛とした」という言葉を使うことを避けてきました。しかし今日、この投稿で私は29回も「凛とした」を使いましたw

 - ライター・編集・ブロガー, 小ネタ