桜島噴火。でも麓の垂水市には、豪雨対策で鍛えた防災体制がある。
実は私、一年前ほどに、桜島の麓、鹿児島県垂水市に取材に行っていました。
今日(平成28年2月5日)の夕方のニュースで、桜島が噴火したと、噴煙が2200㍍まで上がったというニュースが入ってきましたが、とっさに思い出したのは当時の記憶です。
垂水市は、市民が生まれた時から毎日噴煙が立ち上り、降灰が道路脇、駐車場や車の窓ガラスなどに普通に積もっているので、少々の噴煙では住民は気にもとめない感じでした。
私は噴火なんか滅多にみたことがないので近くまで見に行きました。
高倉健さんが亡くなったばかりで、市内にロケ地の看板もありましたが、その後ろにもモクモクと煙を上げる桜島がありました。
取材は噴火の件ではなく、土砂災害への対応についてでした。
土砂災害も、噴火による噴出物が市内全域にシラスと呼ばれる細粒の軽石や火山灰が堆積しているから、水を含むと崩れやすく、豪雨で土砂災害が頻発するわけです。
垂水市は過去に何度も土砂災害で犠牲者を出しています。平成17年の台風14号では、9月4~6日の累積雨量が638㍉に達し、6日には民家が土石流に襲われ3名が死亡。
市は避難勧告を行いましたがその後も1人が死亡。建物435棟が被害に遭い、被害総額は32億円になりました。
市はこれを教訓に避難勧告の遅れを課題と捉え、平成18年度に地域防災計画を改定。山間部では連続雨量が100㍉、一時間雨量が30㍉と、平野部より少ない雨量でも避難勧告を行うことにし、数値によるシンプルな基準で避難勧告の基準を明確にしました。
こうした対策もあって、18年7月に襲った豪雨でも228棟の建物が被災しましたが早期の避難勧告で人的被害はありませんでした。
その後も災害時要援護者の支援体制や、指定避難所の見直しなどを強化。さらに平成19年には防災対応を危機対策管理室に一元化。20年には自衛隊OBを危機管理監に採用。22年には土砂災害想定用のハザードマップを作成し全戸配布、自主防災組織のリーダー研修会も行い、17年度には18%しかなかった自主防災組織の結成率を96%にまで向上させています。
もちろん防災に100点満点はありません。でも他の地域に比べると垂水の市民は、日頃から桜島を見上げ、土砂崩れのリスクを知り、どう行動すべきか、わきまえているのではないかと思います。
桜島の噴火がこのあと、どうなるのかわかりません。人的、そして地域の被害が少しでも少なくなるように願っています。