クイーンの映画『ボヘミアン・ラプソディ』を絶賛しきれない理由
2018/12/10
クイーンの映画『ボヘミアン・ラプソディ』が大好評です。特にfacebook上で、50代以上の男性女性が、絶賛している!
音楽は当時の自分の思い出などとリンクして蘇るので、その世代の人たちが懐かしさも合わせて絶賛するのはわかる気がします。
最後のライブのシーンなんか、私もぐっと来ました!
ただ私的にはいろいろ悩ましい作品でした。でも絶賛しないとダメな雰囲気がfacebook上にある感じがして、facebookには投稿せず、こちらに書きます。
そもそも大前提として、私はクイーンはリアルタイムな世代ではなく後追いでした。結構聞いてはいましたが当時の時代背景や熱狂は知りません。
なおかつ、クイーンは日本のファンがかなり支えたとはいえ、当時、クイーンのファンを公言する人は少なく、亜流扱いした人がたくさんいたと思います。
私も曲と歌唱は凄くても自分的にはストライクではない、とか思っていたし、衣装とか胸毛に若干引いていました。
当時ではなく映画化された今になって『伝説のバンドだ!最高』とか公言しやすいみたいな空気になっているのもなにか微妙に感じました。
いやいやそれよりなにより、私自身、自分が好きだったロックバンド、Judas Priestやacdc, suicidal tendencies,Mötley Crüeなどのドキュメンタリー映画なんかそんなに見たくないからです。
いくら美化しても、ロックバンドの金、酒、薬、女、裏切りなどはがっかりする方が強い気がします。曲を聞いて動画を観てライブに行けば十分です。
フレディ・マーキュリー本人もステージで最高のパフォーマンスをすれば良くて、プライベートの出来事で話題になろうとはしていなかったようですし、それをドキュメンタリー映画で観る必要があるのかどうか。
もう一つ、私はポールロジャースが大好きでした。そのポールロジャースがクイーンのボーカルになったりしていることへの違和感もかなり大きくて。
でも結局観てしまいました。曲と歌の凄さにグワッとくるから、観て良かったのは間違いないです。
人種やルックス、同性愛、エイズに対する差別と闘う話や、バンドメンバーや恋人の支えなど、良い部分もあるしそもそも曲が素晴らしいから、それで十分映画として成立していて、映画批判めいたことは言いにくい気もします。
でも個人的には、映画自体は、名曲が生まれた背景や、演奏に関する描写は雑ではないか、日本との絡みもはしょっているのではないか、という気がします。リアルタイムじゃないと当時の出来事を思い出して補うことができない面もある気がします。
天才フレディ・マーキュリーを描くなら、演者がそっくりだ、とかでなく、何がどう凄いのか、そこをもっと徹底すればいいのにとも思いました。
恋人やバンドメンバーへの裏切りは差別や孤独への裏返しだから仕方ないな、フレディ・マーキュリー良い人、的な持って行き方も混ざっていて、徹底しきれていない感じもあったりして、全面的に絶賛、熱狂とはなりませんでした。
余談:実はもう一つ、気になっていることがあります。以前、何かで読んだのですが、10代20代の頃には、音楽好きな人はみんな、必死になっていろんなミュージシャンを聞き、好きな曲を探すために、結果的に好きなアーティスト、そうでないアーティスト、好きな曲、そうでもない曲も含めて、見知らぬ膨大な音楽を、探して聴いているのに、30代くらいから途端に、若かりし頃に聞いていたバンドや曲だけを振り返って再度聞く、ということばかりになり、新しく出てきたバンドや曲には見向きもしない、探さなくなる傾向の人が凄く多く、それは一種の老化現象だという調査結果でした。
新たな曲に出会うための苦労を面倒に思う。新たに出会う曲を受け止め受け入れるエネルギーが失われる。変化を求めなくなる。それこそが老化であり、結果、若い頃に熱狂していたバンドの来日公演、ドキュメンタリー映画などに当時のファンが集まる、という。でも、本当は自分の好きなジャンルのミュージシャンが、当時の音楽を受け継いで、進化させているかもしれないし、もっと凄いバンドだって、今いるかもしれないのに、そこに興味を持てなくなるということなのかなと。
もちろん昔懐かしいバンドを振り返るのも大賛成ですが、同時に今のバンドにも興味持ちたいなと思います。
そういう私も、今の音楽に追いついてはいません。でもちょっと良いなと思ったバンドを↑に43曲まとめておきましたので参考程度に。とはいえ2年前編集か・・・